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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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皮膚科の名医その2

どんな医者が皮膚科の名医か、見分け方を書く前に、名医の条件を挙げているところです。
前回からの続きを書きますと

4 患者をトータルに考えることができること

いろいろな病気や環境、社会的な事情が患者さんにはあります。患者は皮膚病で受診しても、その背景にある内科疾患の方が急ぐのであれば、そちらをまず治すことが必要です。また、慢性に続くアトピー性皮膚炎のような病気の場合は、目の前の湿疹を考えることと、その患者の将来を考えることの療法から治療プランを立てる必要があります。

口にするのは憚られますが、あるステロイド軟膏を一本出すのにも、あなたの今の状態だけでなく、昔の病気、家族の病気、他の病気、今までの仕事、今の仕事、家の様子、植物やペット、あなたの年齢と今後の人生プラン、全部を考えて一番いいと思うものを出しているんです。(そうでない皮膚科医が殆どなので、患者の不満が多く、それをうちの病院でぶちまけられることもしばしばですが。)

5 悪性疾患、重篤な疾患を見逃さない、放置しない

病気を見逃さないためには全ての病気を知っておかなければならないので、言うのは簡単ですが、実は難しいことです。しかし、診断をつけきれなくても通常の状態ではないという警告をみつけることは可能です。サインを掴めばそこから謎が解けてきます。

しかし、医者になって驚いたことに、解らない病気を放置する医師が多いことがあります。解らなければ、解りそうな先生がいるところに送ればいいのですが、何度も適当な処方をして、改善がなければ「大きい病院でも行ったら?」。これは、医師というより人間として残念です。

6 解らなければ考え、調べ、治療する。

全ての病気が初診からわかることは人間には不可能でしょう。しかし、調べればどんな病気か解るものもあるでしょう。国内の、世界中の文献を調べれば似たような症例はいくつかあるかもしれません。そのような報告から、診断や治療法が見つかる可能性があります。私にとって調べる動機は、解らない病気がある自分が嫌だから、と言う側面もあります。プロフェッショナルとして解らない病気があるのが許せない、と感じるからです。
by SkinDr | 2006-07-31 00:30 | 皮膚科の名医