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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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業務上過失致傷という刑事罰の不思議

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飛行機が落ちてヒトが死んだら、問題となったエンジンを整備した整備士は、あるいは経営している日航なり全日空の社長は刑事罰を受ける犯罪者、なのだろうか。

MRIが爆発してけが人が出た。
不幸な事故である。
作業していた二人も重傷を負っている。
他のけが人やこの従業員に対して、会社が補償をするのは当たり前だろう。
しかし、このふたりは牢屋に6か月入れられるべき犯罪を犯したのだろうか(執行猶予付)。
検察や裁判官はこの二人に牢屋の中でMRIの解体作業の勉強をしろと言うのだろうか。

「過失」に刑事罰を適応する先進国は他にない。
多くの国では交通事故でヒトを死なせても、(むろん補償は要求されるが、)それはあくまでも「過失」であり、「犯罪」ではない。
過失を起こした人間を牢獄に繋いでも意味がない。
過失を犯罪とすると、なぜ過失が起きたかを究明できなくなる。
犯罪者にされるのを恐れて情報が公開されないからだ。

裁判では不利な証拠を握りつぶすことは、驚くことに犯罪ではない。
つまり、裁判は科学ではない。
これは大いなる挑戦である。
しかし、爆発という物理現象は科学的に解明されるべき現象である。
この物理現象の原因は裁判をしても解明されない。
過失か犯罪か、自分までもケガをしているのであればそれは一目瞭然だろう。

一人の職員の過失が、犯罪として追求される世の中は生きづらい。
償いは補償で十分なのではないだろうか。
by skindr | 2007-10-02 18:02 | その他