ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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Meiさんへ、乳房外パジェット病

Meiさんへ

お父様の病、お気の毒です。
お調べと思いますが、乳房外パジェット病は簡単に言えば乳癌のような「腺癌」(アポクリン腺癌)と呼ばれるものです。
既に遠隔転移があると言うことであれば、余命1年という診断もやむを得ないでしょう。

この病気の問題点は、遠隔転移(正確には2個以上のリンパ節転移がある場合以上)がある場合は有効な治療法が無いことです。腺癌という種類そのものが放射線や抗癌剤が効きにくいという面がありますし、またとても稀な病気(皮膚科ではしばしば遭遇しますが、癌全体としては)ですので、進行期の有効な治療の研究があまり出来ていないのが現状です。抗癌剤を使えば延命効果が得られるのか、などは不明なので、使ってみないとわからないというところがあります。現在は他の腺癌で使用されているものが使われています。

さて、フコダインというものについてのご質問ですが、私はこの物質について精通していないのでコメントする立場にありません。保険薬とそうでない薬との違いは、恐らく前者が「治験」という客観的な試験を通してその作用、副作用の確率が分かっているということです。「論より証拠」です。治験には莫大な費用と時間がかかりますから、かなり有望な薬剤でないと保険薬として市場に出てきません。一方、そうでない健康食品はその客観的な効果も、副作用も不明なのです。厳しく言えば、効くか効かないかも不明な上、副作用の頻度や程度も全く不明です。せめて悪さはしないだろう、と思いたいのですが、健康食品類による死亡を含めた副作用は後を絶ちません。医薬品であれば予想外の重い副作用には救済制度がありますが、そのような仕組みもありません。

もしもお使いになるのであれば、「害になったときに家族一同後悔しない」覚悟は最低限必要と思います。現状の医学から考えてある特定の物質が癌をうまく退治できるとは考えにくいと思います。個人的には、病気の治療はプロフェッショナルである医師達に任せて、その費用でお父様にしてあげられる別のことを考えてみるのも一つの方法だと思います。
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by skindr | 2007-11-03 02:11 | 皮膚科