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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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医療費削減は、命の値段の削減

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医療にかかる費用は、つまり命にかかる費用です。
医療費を削れば削るだけ、国民が医療にかかる機会は減り、医療の質は下がります。

ここで間違ってはいけないのは、保険診療の場合、国民の負担は減らないことです。
毎月きちんと払っている保険料、全国一律です。
しかし、いざ病気でお世話になるときには
「あなたの病気を診られる医者は2時間かかる大都市にしかいません。」
そして、その先生の予約を取るには3ヶ月待ちかもしれません。

わずか数パーセントのマイナス改定と思う方も多いかもしれませんが、その数パーセントで利益がでるかどうかが大きく分かれます。度重なるマイナス改定で、病院はほとんどが赤字に転落、またはご存じの通り医師不足で閉鎖していっています。

数パーセントのマイナス改定で多くの地方の個人が得をするのは、遠い遠い病院を受診したときに、支払いが100円安くなるくらいでしょう。つまりマイナス改定は個人からみたら損につながる場合がほとんどなのです。

ちなみに財務省は、以前から将来の医療費の試算をしているわけですが、
その計算で行くと現在の医療費は48兆円のはずでした。
この試算から計算するに現在の医療費33兆円は既に財務省の「予定」よりも30%も押さえられているわけです。(それで医療崩壊が起きているわけですが。)
つまり、25年度には56兆円という計算も大間違いの可能性が大きいのです。

そしてこの医療費の割合は、先進国の中で群を抜いて最低です。
これは、私には働いても働いても国は安い命の値段しか支払ってくれない、悲しいしくみに見えます。

緊急医師確保対策といっても、決定的に医師が足りない病院に中央から一人を送り込んでも、ほとんど機能しないでしょう。
研修医を地方に配置すると言っても、きちんとした指導医がいないから地方で研修しない(できない)わけです。
マイナス改定を続けて医療環境が改善されることはないでしょう。診療報酬を下げて全部を叩けば、良心的な病院から潰れていきます。悪知恵の働く病院だけが「経営力」で生き残って、さらに不要な検査や治療をすることになるのではないでしょうか。
そのときに、病院は選べなくなっている、、、、。



<診療報酬>08年度に引き下げ 財務省が方針固める [ 11月05日 20時43分 ]

 財務省は5日、医師の給与などに充てる診療報酬を08年度に引き下げる方針を固めた。08年度予算の概算要求基準(シーリング)では、少子高齢化に伴って増え続ける社会保障関係費を約2200億円圧縮することを決めており、「確実に達成するには、大幅に増加が見込まれる医療分野の見直しは不可欠」と判断した。日本医師会は「過去の厳しいマイナス改定で医療崩壊が現実化している」と大幅引き上げを求めており、改定率が決まる年末に向けて調整が難航しそうだ。

 財務省が5日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で示した試算によると、デフレが始まった98年度を起点に、07年度までの人件費(人事院勧告)と物件費(消費者物価指数)の推移をみたところ、人件費と物件費の加重平均は4.4%減になった。一方、薬価改定を除いた診療報酬本体は0.8%減にとどまっており、財務省は「近年の賃金や物価の下落を十分反映できておらず、引き下げの余地はある」と求めた。

 財政審で異論はなく、今月下旬にまとめる建議(意見書)に盛り込む。国民医療費(患者負担含む)は06年度は約33兆円で、25年度には56兆円に増加する見通しだ。医師などの人件費はそのうち約5割を占めている。

 日本医師会は10月30日、地域医療支援や医療安全対策、医療の質確保の費用として5.7%の診療報酬引き上げを求めた要望書をまとめており、今回の財務省の方針に対する反発が予想される。診療報酬は1%引き下げると医療費ベースで約800億円の削減につながり、前回の06年度改定では過去最大の3.16%引き下げた。次は08年度が改定期となる。

 医療分野では医師不足など深刻な問題も多く、財務省は、診療報酬は引き下げるが、今年5月末にまとめた政府・与党合意の「緊急医師確保対策」に基づき、地方に必要な医師の確保などは行う方針だ。【須佐美玲子】
by skindr | 2007-11-06 03:45 | 医療政策