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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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やんさんへ、慢性痒疹

やんさんへ

奥さんの皮膚病、大変ですね。
お話からすると病気は痒疹で良さそうですのでそのお話をします。

痒疹は皮膚科の専門医も困る難治性の病気です。
アトピー性皮膚炎などと違い、特定の検査値の異常など目安になるものが何もないのに慢性の湿疹やこぶのような痒い塊が続きます。
この強い皮膚炎がどうしてとびとびに生じるかは未だ持って全く解っていません。

従って、治療は症状に応じて行う対症療法になります。
一般的にはかゆみ止めの飲み薬とステロイド剤の外用が行われますが、これでは効果不十分の場合が多々あります。

紫外線は有効な治療の一つで、私もよく行います。紫外線には種類もいろいろありますが、UVB、特に最近のナローバンドUVBと言われるものは安全性も、痒みを止める効果も高くなっています。PUVAと言われる治療法もありますが、これは施設が限られていて、一般にはあまりありません。また、プロトピック軟膏というステロイドではない炎症を抑える塗り薬を根気強く塗ってよくなった方もいました。今後保険が認可されそうな内服薬もあります。

痒疹の治療には「これでかならず効く」というものはありません。患者さんによっては、掻いてはいけないと思いつつも痒くて掻いてしまい、それで落ち込んだりする方もいます。しかし、視点を変えれば、命に別状はない病気です。いつまでに治るか、と考えたりすると焦ってしまいます。「何故」とあまり問い続けずに、現状が急に改善しないという現実を受け入れて、治療を続ける気持ちを持つことも、ひとつの大事な治療方針だと思います。
by skindr | 2007-11-23 11:55 | 相談のお返事