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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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2次救急が取れない理由

Excite エキサイト : 社会ニュース

多くの2次救急病院はこのレベルの患者を取れないだろう。
とったとしても救命は難しかっただろう。
頭も大動脈も見ることができる一人の医者はまずいない。
2次の多くは一人か二人である。

多くの2次救急病院はすでに救急を辞めたがっているところが多いと聞く。
救急は患者の容体がわからず、死亡の可能性が高く、最も訴訟になり、かつ負ける診療科なのである。

敗訴の判決は「十分な設備や人員、技量が無く受け入れる」ことをその理由としている。箱を開けてみないと何が入っているかわからない救急では、何が入っていても万全の体制で無い限りは、診療をしてはいけない風になってしまった。昔のように「できるかわからないけど受け入れます」、は裁判官によりしてはいけない行為とされてしまった。

さらにもしも「当直していた医者の携帯がうんぬんで連絡が、」というのがいちいちニュースになり、受け入れられなかった病院がすべてを釈明しなければならないのならば、、、、、、
2次救急病院の消滅までには1年もかからないと思う。

不十分な医療で助からないか、医療を受けられず助からないか、、、
司法は、後者を選べと言っている。

科学的に不正確、あるいは現実的に不可能な救済目的のような判決を出すと、世の中にこのような影響が出る。

法律的に医師だけを免責と明文化することはとてもできないだろう。しかしそうであれば現代のリスクマネージメントから考えて、法律のために医療がなくなることになる。助けたい医師と助けられたい患者の間に横たわる見えない溝はいろいろな力で広げられるばかりだ。
by skindr | 2008-01-04 18:34 | 医療政策