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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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京子さんへ、リンパ節腫脹

京子さんへ

リンパ節の腫脹ということ、いろいろ気になりますよね。診察をしていないので責任のあることは言えませんが、一般論を少し述べましょう。

まず、8mm大のリンパ節というのは必ずしも「腫大」とは言えないでしょう。病気のない人でも探せば長径8mm程度のリンパ節があってもおかしくはありません。色素を含んでいるのも必ずしも病的ではありません。過去に皮膚炎や外傷があったあとであれば不思議ではありませんし、リンパ節に運ばれるようなメラニン色素は巨大分子で組織球というお掃除細胞に取り込まれても分解消化されるのには長い長い時間がかかります。

生検まで受けているのであれば、正確な診断もおそらく出ているのでしょう。癌の転移などは否定されているわけですよね。ずっと変化がないのは、それが腫大ではなく正常な大きさであるからだ、という可能性も十分にあります。

まとめると、単発の8mmのリンパ節で長い期間変化が無く、生検でも悪性所見など出ていないのであれば、少なくとも現時点で何かを心配する要素はきわめて少ないのではないか、というのが私の印象です。不安があるようでしたら、リンパ節生検を受けた施設の先生とよく相談してみましょう。

アドバイスですが、医学に100%はありません。そしてすべての所見を説明することができるわけでもありません。そんな医学の中で大事なのは、検査の個別の所見を小さく小さく見ていくことではなく、患者さん全体を見る大局観だと思うのです。おかしな病気が続いていれば、どこかのバランスが崩れて症状や検査値異常に現れてくるものです。(そのために経過を観察するというとても大事な医学的な方法があるわけです。)

またどれだけ検査をしても医者が「絶対に大丈夫です」と言うことは絶対にありません。だけど、とても起こりにくいこと、というのはやはりとても起こりにくいわけです。そのようなことを心配していても解決する方法が無い限りは意味が無いのです。病院でおそらく大丈夫と言われたのでしたら、若い時代を悩みに使わず楽しんでください。

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はじめまして、24歳女性です。
先週、昨年夏に気付いた左脇下の8mm大のリンパ節を生検してもらいました。さほど大きくはないのですが無痛・可動性の硬めのしこりが消失しないため病理検査となりました。
結果は、悪性所見はなく、メラニン色素を含んだリンパ球?といったものが多くみられたそうで、皮膚疾患からくるリンパ節腫大だろうとなりました。で皮膚科を受診しましたが、特にリンパ節腫大の原因となるようなところはないといわれました。
ここで質問なのですが、リンパ節が腫大し、メラニン色素を含んだリンパ球がみられる場合、どのような原因が考えられますか?
私はもともと右ひじと頭皮・耳にアトピーがありましたが、症状は20歳を超えてからは軽く右ひじに残るくらいでした。
あと、生検をする3週間ほど前から10日間ほど、左胸上に1円玉大の薄黄~茶色の内出血(鍼灸院で鍼治療を受けた際できた)がありました。これはリンパ球のメラニン色素と関係あるでしょうか?リンパ節自体は昨年夏以前からの腫大なのですが・・・。
また、過去の皮膚疾患で腫大した脇下のリンパ節が、そのまま何年もずっと残存するということはありますか?
回答よろしくお願いいたします。
by skindr | 2008-03-21 01:05 | 相談のお返事