ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
このリンクを是非読んでください。
http://www.geocities.jp/jgill37jp/dates.html

私もイギリスを訪ねた際に、子供が発熱する事態となりました。
それまで、一度も病気をしたことがなかったのですが40度近い高熱と嘔吐下痢。
旅行保険があったので、それで直接日本人医師の病院へ。
なぜならホストファミリーが、普通の病院へ行っても無駄だから、と言ってくれましたので。
結局滞在中ずっと調子悪く、帰りのヒースローで元気になりました。

この文章からすると日本の医療は善意の塊ですね。
イギリス人医師の言い分は解ります。5日以上続く発熱、であれば、5日目以降しか診断できないのは当然なわけです。日本の医療は、その前に考える。それ以前にも疑う徴候はもちろんあるわけです。悪くなりそうだから、と考えることと、悪くなってから「さて、何だ」と考えることはその後の対応が全く違います。

私は、医療の多くは「上善水の如し」と思っています。悪化してから派手な治療をするよりも、患者に告げずとも普段から危険の芽を注意しながら、あまり大きなイベント亡く、うまく患者が人生を全うできるのを手助けする、のがいい医者だと思っています。
[PR]
# by skindr | 2008-02-27 18:58 | 医療政策
Excite エキサイト : 社会ニュース

つれづれなるままに、さんのブログのタイトルをまねさせてもらいました。

法は本来生産的なものではないと思うが、実はとても生産性と密接に関与している。
最近では、法のための法が一人歩きして、裁くことに重点が置かれている気がする。法は利害を調整して、社会を動かすためにあるものだと思う。法のために社会が停滞するのは本末転倒であるが、建築基準法をはじめ大きな停滞をしばしばもたらしている。医療においても多くの司法判断が適切で効率的な医療を停滞させている。

先日WBSで日本の会社の数がどんどん減っていると報道していた。日本はビジネスをするための法律は整ったが、その運用や司法が不可解であるために、何が処罰されるかわからず起業する人間がきわめて少なくなってしまったとのこと。法の判断が不透明であると、現場は何が裁かれるか解らずに萎縮し、士気が下がる。これはどの仕事場でも同じである。現在の医療もまた同じである。転んで頭を打ったと自己申告すれば、すべての患者のCTを撮るような馬鹿げた防衛医療をもたらしたのは医学ではなく司法なのである。

医療において作られようとしている事故調は、第三者機関といいながら完全に厚生労働省の下に置かれている。そして、医療事故を検証して予防するための専門委員会であるはずなのに、法律関係者や遺族の関係者が入るという。これではもともと処罰対象として見ているようなものである。そして、これが刑事裁判の証拠になるなら、どんな医師が事故調に情報を提供するであろうか。一生懸命やった結果が予想外だったら、刑事犯にされるかもしれない。そんな中で医療をする馬鹿はいない。

この法律によってもっとも被害を被るのは医療を受ける患者なのである。患者側から、医療の消失をもたらす法律の制定を排除する必要がある。ごく一部の不幸なケースのために、医療全体が失われる愚を犯してはならない。
[PR]
# by skindr | 2008-02-17 20:59 | 医療政策
ハンナさんへ

手術の結果、グロームス腫瘍が解ったとのことですね。グロームス腫瘍は血管から出る稀な腫瘍で、多くの場合指に出来て痛みを伴います。血管から出る良性腫瘍は血管平滑筋腫など痛みを伴うものが多いのです。

先生が説明してくれたとおり、腫瘍自体が痛みを生じるので、痛みを取るためには手術をします。(薬などでは腫瘍は無くせないので。)一般に取れば治ります。ハンナさんの場合は手術はうまくいってその後の傷の経過はよいのに痛みが続いているとのことで、痛みの原因ははっきりはわかりません。手術後の痛みならば一般的には徐々にひいていくものですが、稀に体の末端などで長引くこともあります。また、一部は「古傷の痛み」という感じでぶり返したり、たちが悪いと少し腫れたりして慢性に続く人もいます。このような痛みがどんな手術でどんな患者さんに起きるかは予見できません。

いずれにしろ、手術はうまく行っているわけですので原因ははっきりしませんが、、今後も続くようであれば「慢性の痛み」として治療をするのがよいのではないかと思います。このような痛みの治療をする専門の診療科「ペインクリニック」というのがあります。もしお近くにあればそちらを紹介してもらうのはいかがでしょうか。
ハンナさんの痛みが早く緩和されることを祈っています。
[PR]
# by skindr | 2008-02-16 17:08 | 相談のお返事

医療責任制限法の必要性

Excite %u30A8%u30AD%u30B5%u30A4%u30C8 : %u653F%u6CBB%u30CB%u30E5%u30FC%u30B9

いろいろな方が医療崩壊の原因について述べているが、現場からみて多くの論点で抜けているのは医療の責任の供給側と需要側の持つ違いである。

交通事故などで病院が訴訟を受けることがある。
単純な論理であるが、事故で大きく傷ついた人間はすでにそれだけで死に近い状態である。救命の可能性を求めて病院を受診するが、救命できないこともある。不幸なことであるが、患者は交通事故の犠牲者であり、医療の犠牲者ではない。

少し難しい話だが、素因減額という考え方がある。

健康な人間が突然病人になる事故とは違い、病院を受診する患者はすでに病気や怪我、即ち健康よりも死に近い状態にある。医療を施せば改善するかもしれないが、そうならないかもしれない。検査や手術、投薬といった医療行為が却って命を縮めるかもしれない。薬害訴訟を取ってみても解る通り、投薬一つですら予想しない副作用があるからである。

ではここで、すでに病気があり医療を行わなければ悪化していく患者に、医療行為を重ねるうちに何らかの医療過失があって(仮に過失があったとして)死亡した場合と、全く病気がない健康な人間がよそ見運転(過失)で跳ねられ死亡した場合とどちらに大きな損害賠償が請求されるべきだろうか。

現在では、驚くべきことに患者を治療している病院の方が遙かに多くの賠償を請求されるのである。多くの医療者はすでに健康が損なわれ、治療の選択の如何に関わらず長期の生存が難しい患者において、健康な人間を死亡させるよりも高額な賠償を要求されることにショックを受ける。東京高裁の藤山裁判長は、患者は医療を受けることによってよくなることを期待する「期待権」が侵害されたとして、同じ年齢の交通事故よりも300万円高額の賠償判決を出している。

病院で亡くなれば、何らかの過失があったとして訴訟を起こし、通常考えられないような賠償金が請求される。「死体換金ビジネス」と揶揄される状態である。

もともと私たち医療者は、医療を施したことのない裁判に裁かれるのに大きな疑問を感じている。ある局面でのある判断が、後日素人から「過失」といわれるようであれば、医療は先に進めないからだ。また、最近よく言われる「説明不足」も、例えば薬の副作用ひとつとっても、日々処方するどの薬でもあらゆることが起こる可能性があり、その全ては有限な時間内に説明は出来ないからだ。

故障した飛行機のパイロットがいたとする。うまく操縦できなくなった飛行機をどうにか軟着陸させた。半数は死亡したが、半数助かった。ブラックボックスが回収されてデータを分析した。解析からは、あと100ft高いところを航行していれば、結果的にもう少し安全に着陸できた可能性があった。死亡した乗客の遺族が損賠を提訴し、数年後、裁判で飛行機を操縦したことのない裁判官が、「無事に到着する期待権を侵害した」と断罪する。これでは飛行機は操縦できない。

判決はいつも後出しである。裁判長や検事や弁護士に電話しても、今の操縦(治療)がいいかどうかは教えてくれない。そして民事裁判の解決は唯一、お金なのである。そうであるとすれば、すでに死の素因がある患者に不幸が起きても、素因減額が行われるべきで、少なくとも、健康な人間を基準にしたよりも高額の賠償はありえない。そうでなければ、医療も、社会倫理も成り立っていかない。

このようなおかしな判決が続くのは、法に大きな不備があるのも一因である。素早く「医療責任制限法」を作らなければ、このまま医療は消えて無くなる。それもごく近い未来に。
[PR]
# by skindr | 2008-02-12 04:04 | 医療政策
balthazarさんへ

今、あなたは数多くの人から意見を聞こうとしています。

かかっている皮膚科医
薬剤師
消化器科の医師

そして、web上の皮膚科医です。

この中で、実際にあなたの皮膚病を診察しているのは誰でしょう?
そして皮膚科の専門医は誰でしょう?
それを考えればどの人があなたの健康を最も守ってくれるのか、
(正確に言えば、最も守ってくれる確率が高いのか)解るはずですよ。

頂いた断片的な情報で私があなたの主治医の適性を判断するのは難しいでしょう。
それと同様に、疾患が解らない薬剤師や他科の医師の意見が、皮膚科を専門としているものよりも妥当だと考える理由があるでしょうか?
一般論は薬剤師や内科医にも語れるでしょう。
しかし、主治医は一般論で治療しているわけではありません。
あなたの症状を診て、考えて合う処方をしているのです。
少なくとも処方内容からは何か問題があるようには思えません。

ステロイドを使う治療は、飲み薬も塗り薬も、我慢が必要な治療です。
薬剤を使う治療に、何のリスクもない治療は望めません。
根治がない以上、何かを犠牲にして何かを補うのが治療です。
副作用があるからといって、止めたりしては、それまでの治療が全部パアになります。
その調節をするのが主治医の役割で、一般論を語るのが仕事ではないのです。

いろいろな医者のいい意見だけをとって治療する、というのは一見良さそうです。
しかし、それは船頭多くして船山に上る状態で、誰にも収拾がつかない状態なのです。
誰かを信用して任せなければ、いい治療は受けられないのです。

もう一度、誰があなたを診ていて、誰が皮膚病の専門家かを考えてみてください。
誰を信じるかはあなたの自由です。
今の皮膚科の主治医を信じられると思えば、信じて任せるしかありません。
どの医師を信じてもリスクは必ずあります。
そしてそれは仕方のないことなのです。
これがあなたへのセカンドオピニオンです。
[PR]
# by skindr | 2008-02-09 23:01 | 相談のお返事

よかった、、、、

Excite %u30A8%u30AD%u30B5%u30A4%u30C8 : %u793E%u4F1A%u30CB%u30E5%u30FC%u30B9

冬の山が好きなものとしてはこれは気が気ではありませんでした。
詳しくは伝えられていませんが、凍傷などの病気もない様子です。
7人の協力と冷静な判断、そして大きな幸運で難局を乗り切れたようです。

命があるのは何と素晴らしいことでしょうか。
久しぶりにほっとして嬉しく思ったニュースです。

More
[PR]
# by skindr | 2008-02-05 23:49 | その他

誰が数えたか知らないが

Excite %u30A8%u30AD%u30B5%u30A4%u30C8 : %u793E%u4F1A%u30CB%u30E5%u30FC%u30B9

首都圏で296人、多いのか少ないのか、雪じゃない日のデータがないと解りませんが。

こんな日は医療関係者だって出勤が難しいんですよ。
病院に行っても医者がいない、なんてこともあります。
無理して出勤して転ぶくらいなら、どうぞ十分に安全になってから出てください。
[PR]
# by skindr | 2008-02-04 22:29 | その他

つながるとうつる

<コンピューターウイルス>作成者、国内で初逮捕 京都府警
Excite エキサイト : 社会ニュース

私はマイナーなコンピュータを使っているのであまり被害に遭いませんが、先日友人から受け取ったUSBメモリを実験用のパソコンに挿すと、ウイルスチェッカーにはじかれました。今はwebよりもUSBメモリで感染することが多いとのこと。PCウイルスの生き様を考えるとまさに「性病」に酷似しています。

性病も予防する方法がしっかり確立しているわけですが、決して無くなることはありません。強力な伝染性と病原性をもっていた天然痘は根絶され、ポリオや海外では麻疹(はしか)も根絶されようとしているのに、です。

ちなみに、日本は先進国の中で唯一の「麻疹輸出国」として悪名高い国なのです。きちんとしたワクチン行政が行われていれば、今頃麻疹に医療費を使う必要はなかったはずなのですが、ごく稀に生じる副作用についてマスコミが書き立てたために、世論的にワクチン拒否が流行り、現在の惨状に至るわけです。しかも麻疹の後にはSSPEという治療法のない恐ろしい神経病が起きる可能性があります。科学的な知性って本当に大事です。PCもみんなが予防接種していれば広まらないはずでしょう。

性病はきっと根絶されないでしょう。コンピュータ同士、人間同士、つながらなければ感染しないけど、つながらないと孤独死してしまうという生命の原点に感染の機会を持ってきている病原体はなかなかに退治が難しいと思われます。今回の作者もきっと孤独で寂しかったのでしょう。

生物全体から見れば、個体発生後に遺伝子(プログラム)のやりとりを媒介するウイルスの存在は貴重なのかもしれませんが。

More
[PR]
# by skindr | 2008-01-29 18:38 | 感染症
<医学論文>急減 処分恐れ医師ら萎縮? [ 01月27日 02時31分 ]
target="_blank">Excite エキサイト : 社会ニュース

論文は医者が医学部を卒業してから学ぶもっとも大事な情報源です。
どの治療にどのような合併症が起きるのか、その頻度は、合併症の治療方法は、などなどを記載した論文を読むことで、医師は多くの知識を吸収していきます。

訴訟や医療事故調のためなのか、論文が出なくなっているようです。これが、もっともおそれていた情報の埋没です。論文がなくなれば、合併症や副作用が知れわたることもなく、延々と同じ悲劇が誰に知られることもなく続くのでしょう。

医療技術はいくら磨いても完全にはなりません。医師としてもっとも大事な「知性」まで訴訟に浸食されるようでは、この国の医療はあと5年持たないでしょう。まあ、この国自体も滅び行くのかもしれませんが。
みなさん、脱出の準備を!!

More
[PR]
# by skindr | 2008-01-28 13:22 | 医療政策
賠償金上限制によって、テキサス州は医師が急増
http://www.medicalnews.jp/index.php?itemid=223&catid=18

不当な高額賠償訴訟が無くなるだけで、医師が40%も増えた実例です。
最初に打つ手は診療報酬ではありません。

事故調は刑事罰にまで関与する憲法違反の行為です。
成立すればリスクを伴う疾患を診る医者はゼロになります。

そして、これを進める厚労省の佐原康之氏は
「国 民 が 望 ん で い る か ら !」と答えています。
http://ameblo.jp/kempou38/entry-10067920584.html

それは嘘でしょう。選挙で選ばれてもいないてめーに国民の代弁してもらいたくない!
[PR]
# by skindr | 2008-01-25 13:44 | 医療政策