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ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
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殺人????

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殺人とは故意を持って生きている人を殺すことに使う言葉である。
この患者は心肺停止、即ち「死んだ」状態で運ばれている。
ここで、「心肺停止、ご臨終です」と言えばこの医師は何も問われることはなかった。

たまたまDCショックなどの治療により心拍が戻ったため、呼吸器をつけた。
が、もちろん、回復の見込みなどないだろう。

マスコミは「課題は残る」などといい加減な書き方をせずに、もう少し勉強して欲しい。「奇跡的に」元の状態に回復できる領域とそうでない領域があること、「死んだ」人間の意志はどうやっても汲めないこと、議論の前にはっきりしている前提を確認して報道して欲しい。このようないい加減な記載が、「何か書かれないために延命医療」を続け、回復の見込みのない老人一人に数千万円を投じ、結果として医療費不足で助からない患者が多数いることを認識して欲しい。無駄な延命がなければ、その費用は助けるべき若者の負担軽減として還元される。それは、社会を見渡したときにとても意味のあることで、一つの死を無駄にしない大事なことだ。

医者はただでさえ先の見えない重症患者を抱えて重圧の中で仕事をしている。
この送検に関して、精神的時間的な苦痛を被った医師は、損害賠償を提訴することができるのだろうか。

それから、こんなことしている時間があったら警察も検察ももっと「犯罪」と思われるものを摘発する仕事をして下さい。

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<呼吸器外し事件>担当医を容疑不十分で不起訴 旭川地検 [ 08月03日 20時35分 ]

 北海道羽幌町の道立羽幌病院で04年2月、自発呼吸できない男性患者(当時90歳)が人工呼吸器を外されて死亡した事件で、旭川地検は3日、殺人容疑で書類送検されていた担当の女性医師(34)を容疑不十分で不起訴処分とした。延命治療中止を理由に医師が殺人容疑で立件された全国初の事件で、地検の判断が注目されていた。

 地検は女性医師や遺族などからの聴取のほか、別の病院の医師数人にカルテや司法解剖結果の鑑定を依頼。この結果、患者は、呼吸器を外す前から血圧低下が著しく「呼吸器を外さなくても間もなく死亡していた」との複数の医師による鑑定が出た。地検はこの鑑定結果を重視。「呼吸器を外す直前における被害者の余命は十数分だった可能性を排斥できない。取り外し行為によって死期を早めたと断定できない」として、呼吸器外しと患者の死亡との因果関係を立証するのは困難と判断した。

 男性患者は04年2月14日午後1時ごろ、食事がのどに詰まり心肺停止状態で同病院に運ばれ、人工呼吸器を装着された。女性医師は「脳死状態で回復の見込みはない」と人工呼吸器を外すことを家族に提案し、翌15日午前10時40分ごろ、人工呼吸器のスイッチを切った。患者は蘇生後脳症で15分後に死亡した。

 調べに対し、女性医師は「治療を続けても回復は難しかった。家族の負担も考え、同意を得て呼吸器を外した」と供述していた。道警は、女性医師が独断で人工呼吸器を外した▽本人の意思を確認せず、家族への病状の説明も不十分だった——として昨年5月、殺人容疑で書類送検した。

 地検は、延命治療中止を許容するため「患者は不治の病で末期状態」「患者の意思表示がある」などの要件を示した東海大安楽死事件判決(95年3月、横浜地裁)などを考慮し、最高検とも協議。この間の今年3月に富山県の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外されて死亡していた問題が発覚し、結論までに送検から1年3カ月を要した。【遠藤拓、渡部宏人】

 ▽甲斐克則・早稲田大学法科大学院教授(刑法、医事法)の話 予想された判断だ。呼吸器の取り外しが死に直結した明白な事案でなければ、公判で争うのは困難と判断したのだと思う。

 呼吸器の取り外しを誰が判断したかや、患者の意思を酌んだかなどは富山県射水市のケースでも問題になっている。延命治療中止の可否をどう判断するか本件でははっきりせず、課題は残る。さらに議論を深めていく必要がある。
by SkinDr | 2006-08-06 03:33 | 医療政策