人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ベテランになりつつある皮膚科医がみた世界。世の皮膚病の患者さんの役に立てれば幸です。08年5月より多忙のためしばらく相談に対する回答をお休みします。


by SkinDr
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

手の病気

手の病

冬は皮膚科医はのんびり過ごすのが常なのですが、いくつかの病気はこの時期悪化します。
手の病気、特に手湿疹(主婦湿疹)はこの時期悪化してくるもののひとつでしょう。
見た目上はいろいろな形があります。指の腹の皮膚が厚くがさがさになり、ひび割れができて血が出るもの、小さな水疱ができるもの、手の甲側にあかぎれができるもの、爪の周りが荒れるもの(さかむけ)などなどなど。



保湿が基本でしょうが、炎症による角化の異常がある場合はきちんとステロイドを外用するのも大事です。しかし、止めるとすぐ悪くなる人の場合には裏技の特殊な内服なども考えざるを得ない場合もあります。

手湿疹と思っていても違うものも多数あります。手の水虫や疥癬などはステロイドを外用されて悪化している場合も多くあります。掌蹠膿疱症、毛孔性紅色粃糠疹、尋常性乾癬、掌蹠角化症、扁平苔癬、多形紅斑、環状肉芽腫など挙げればきりがありません。

老人ではボーエン病や、日光角化症という上皮内癌が見られる場合もあります。

最近では抗癌剤の副作用としてカペシタビン(ゼローダ)によるいわゆるHand-Foot症候群、ゲフェチニブ(イレッサ)による爪囲炎、シタラビン(キロサイド)による肢端紅痛症、5-FU系(テガフール、TS-1など)による色素沈着などなかなか困った副作用として見る場合もあります。

手の病気は治りにくい傾向があり、まめな通院が必要な事が多いようですが、金属アレルギーなどの接触皮膚炎が原因だと、原因を同定すれば治療をせずとも治ってしまう場合もあります。

冬は皮膚科は少し暇なので、ゆっくりお話を聞いてもらえるかもしれません。
by skindr | 2007-01-26 23:48 | 皮膚科